誘拐犯と人生ゲーム




ゴリ……、もとい、猛獣使い《ビーストマスター》さんは、自分の背中に手を回した。



「「!!」」



「テメェらまとめて俺が殺してやるっ!!」



猛獣使い《ビーストマスター》の手が振られるより早く、私達はそれぞれ逆の方向に避けていた。



「避けられるなんざお見通しだっ!!」



猛獣使い《ビーストマスター》の目が私を捉えた。どうやら標的を私にしたらしい。



「一葉ちゃんっ!」



どうする。


決まってる。



奴の鞭が私の両足に巻きついた。



「はっはっは、チビ捕まえた!弱ぇなお前」



「捕まったのはあんたでしょ?」



「は?何で後ろから声っ……」



奴は言葉を止め、素早く横に跳んだ。カカカッと床に突き刺さるナイフ達。



鞭が巻きついているのは、私が脱ぎ捨てたただのブーツ。



「はん……。ちょっとはやるじゃん」