ゲームは、何の前触れもなく突然始まった。
「一葉ちゃん、こっち!!」
ルカさんに手を引かれて走り出した。途端、銃声が聞こえ、私達がさっきまでいた場所に小さな穴が出来ている。
狙撃されたんだ。
ぞわぞわと鳥肌がたつ。ルカさんが手を引いてくれてなかったら、私は確実に死んでた。
尚も走り続ける私とルカさん。銃声は聞こえない。一体どこから撃ったの?
私達は見えざる敵から逃げ、とある廊下で止まった。息は切れてない。吹奏楽部なめないでよねっ。
「どうやら敵は三人のようです。見事に分断された……」
ルカさんは葉擦れのような声量で言った。
三人、武器はとりあえず銃を所持。
「そして今の気配……。恐らく敵は、猛獣《ビースト》」
猛獣《ビースト》……。あんまり怖い名前じゃないけど、油断大敵、気を緩めるな。
「一人は狙撃手の鷲の目《イーグルアイ》、一人は二刀流の神速《チーター》。
そして最後の一人は鞭を駆使するゴリ……、コホッ、猛獣使い《ビーストマスター》です」
……どうでもいいけど、今ルカさんゴリラって言おうとした?


