誘拐犯と人生ゲーム




この町は田舎らへんだから夜は暗く、今の時間帯だと蛍光灯や月明かり、たまにある高層ビルの光くらいしかない。




初春だから外の空気はまだ肌寒く、薄手の愛用コートを着てきて正解だった。



学校着いたら脱ごう。校門あたりに置いておいても、誰も盗まないよね、ねっ。



歩くこと約30分、目的の高校に着いた、らしい。ルカさんは校門の前で、高校をじっと見つめてる。




「……入ろうか」



「あ、コート置いていくのでちょっと待ってもらえますか」



私はルカさんの手を離し、素早くコートを脱ぎ、小さく畳んで目立たない場所に置いた。



「お待たせしました」



「うん」



私達は再び手を繋ぎ、校門の人一人が横になってやっと通れそうな程の隙間を通った。