誘拐犯と人生ゲーム




「……嫌、だ」



聞こえるか聞こえないかのか細い声。ルカさんは確かに拒否した。



ルカさんは俯き、私を見ようとしない。微かに肩も震えてる。



まるで、バレバレの悪戯を意地でも隠し通そうとする子供のよう。



「……ルカさん」



私が呼ぶと、ルカさんはバッと顔を上げた。その目は涙で濡れている。





「嫌わないでっ!!」





悲痛。

悲哀。

悲愴。




悲嘆?




「嫌わないで……」



私は何も言わない。何も言えない。どうしたらいい?何を選択したらいい?



でもルカさんは、最初会った時に告白した。自分は良識的な人間じゃないと言った。



信用するなとも言った。



それを自分で言って、哀しいと言った。



そして私は……。