「ふん……。
そろそろお前にも"依頼"がくるんじゃないか、二重領域《ダブルサイド》」
え……。何て言ったの、今。ダブルサイドとか何とかって?
それに依頼って何のこと?
わからない、私にはわからない。知らないことはわからなくて当然。
それを知りたいと思う反面、知りたくないと思うのも当然。
「まぁ、いい。金は置いていく、釣りはいらない。じゃあな」
「えっ、待ってよ黒羽ーっ」
スタスタと去っていく黒羽くんと、その後を慌てて追う荻南さん。
残された私達の間には、名状しがたい空気が漂う。
「……知りたい?」
ルカさんが少し怯えた様子で聞いてきた。
怖いんだ。
私が、嫌いになってしまったらって。
随分と自惚れた推察だけど、ポジティブに考えるならそれが妥当な理由かな。


