誘拐犯と人生ゲーム




「この人達、一見怪しいけど敵じゃないから大丈夫」



一見怪しいて……。



とりあえず私はルカさんの裾を握りしめながら、ペコリと頭を下げた。



「陽渡 一葉です。先程は失礼しました」



「わー、礼儀正しいね。何で誘拐したんですか?ズバリ一目惚れ?」



「はい」



ルカさんは、はにかみながら笑う。



「でも可愛いですもんね。連れて帰りたい気持ちわかりますよ。


えーっとそれで、今日は怪我を診てもらいに来ました」



「そのようですね。見た所全て軽傷のようですが、診療しましょう」



そう言ってルカさんと荻南さんは、医療室に入っていった。



必然的に私と男の子は二人きりになる。しかし彼はあまりお喋りなタイプではないようで、部屋は奇妙な静けさに包まれた。



ギリギリ小学生か、ギリギリ中学生か。どっちだ。別にどっちでもいいけど。