私の祈りが通じたのか、ガチャリと、玄関から音がした。帰ってきた!
「……あれ、黒羽くんじゃないですか。お久しぶりですね」
「あぁ」
さほど驚いた様子のないルカさん。やっぱり知り合いだったんだ。
「竜鄙さんお久しぶりですっ。ねぇねぇ竜鄙さん、あの子誰ですか?」
荻南さんが爛々と聞くと、ルカさんは「あぁ」、と言って、ニコッと微笑んだ。
「誘拐しちゃいました。可愛いでしょう?」
え、それ暴露していいの?何を思ったのか荻南さんは私を見、
「可愛いぃぃぃぃ!!」
と叫んだ。
この人頭大丈夫か。頭の具合も見てもらった方がいいんじゃ……。
「大丈夫だよ、一葉ちゃん。おいで」
ルカさんに呼ばれ、小走りで傍に行き、ルカさんの裾を握った。
実はちょっと心細かった……。


