誘拐犯と人生ゲーム




「ご馳走さまでした」



「あ、お風呂どうしますか?もし入るなら洗ってきますけど」



「いえ、後で入るので一葉ちゃんはゆっくりご飯食べてて下さい」



「わかりました」



ルカさんは席を立つ。去り際に私の額にキスを一つ落としていった。



何だこの新婚生活みたいな感じは。嫌じゃないけど、嬉しくもない。



……あ、ルカさん自分の食器出してない。仕方ないか。忙しいみたいだし。



私はご飯を食べ終え、食器を洗い、お風呂を洗い、お風呂に入り、テレビをつけた。



流れたのはニュース。



『行方不明になったのは、〇〇県××市に住む、十六夜中学校に通う陽渡 一葉ちゃん14歳』



あ、私のニュースだ。



『一葉ちゃんは午後4時頃、友達と分かれたのを最後に姿を消したとみられています。


帰宅途中、一体何が起こったのでしょうか』



誘拐されたんだよ。



『警察は、事件や事故の可能性もあるとみて、捜索を続ける模様です』



しなくていいよ。



私はテレビを消した。何か見る気失せたよね。