「……一葉ちゃん?」
「何でもありません。えっと、有り難うございました」
ルカさんの手から逃れるように、ペコリと頭を下げた。
「クェ!」
そしたら、後ろからペンギンに飛び蹴りされた。何でだよ!
「わわわっ」
バランスを崩して前のめりに倒れる。
「一葉ちゃん!」
丸椅子がガターンと音をたてて倒れ、私は間一髪の所でルカさんに抱き止められた。
薬品と、血の匂い。
「こらミーナ、駄目でしょう?」
「クェ〜」
「……あの、ルカさん、もう大丈夫ですよ」
しかしルカさんは何を思ったのか私を更にぎゅっと強く強く、苦しいくらい痛いくらい抱きしめた。


