『それは、なんか違う気がします』 私は遠慮気味に言った。 『ま、いーじゃないの』 『…………』 『あ、なんなら松虫にしようか?』 不満そうな私を見たのだろう。 彼はとんでもないことを言った。 『永遠に口を聞かせてあげないようにしましょうか?』 微笑んで私は言った。 松虫草の花言葉は〝不幸な恋〟〝恵まれぬ愛〟〝私はすべてを失った〟〝悲しみの花嫁〟