紅蓮の鬼







彼は、鋭く尖った爪についた血を舐めながらこちらに歩いて来る。


いや、訂正。


淋の方に歩いて行く。


――やっぱなんか食ってきたんだろ


気持ち悪い登場の仕方だな、おい。


思ったけど口にはしない。


「で、なんでこんなとこにまだヴァンパイアがいるんだよ?」


「「!?」」


花桂樹が薄ら笑いを浮かべて言った。