あれから、暫く歩いた後。 ――着いた。 「楓太、」 ワタシは自分の方に楓太を寄せる。 「中には名を呼んで心を操る輩がいる。簡単に名乗るな」 なるべく手短に伝える。 楓太はさっきとは一変、真面目な顔つきになる。 「もう一度言うが、ワタシの側を離れるな」 ワタシがそう言うと、楓太は頷いた。