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丘の上の古い洋館の一室。


ソファーに座った一人の黒髪の男と、傍らに跪いた栗色の髪の女がいた。



「始祖ヴァンパイアである、サクラ様が目覚められた?」

「はい。そのように伺っております。」

「それは面倒だな…サクラ様はやっかいだ。」

「どのように、いたしますか?」


「フッ…そうだな…」

そう言って、女の耳元に口を近づけ、何事か囁く。


……しばらくして。


「はい。承知いたしました。」


女が深く頷き、部屋を立ち去る。



男は、夜明け前の窓を見つめながら、つぶやいた。


「私が王だ。」