想像には難くない。
恐らくは、自分とシキミの逢瀬を見たにせよ、それにはシキミの世界にアガトが行く必要がある。
シキミほどの召喚師が、呼び出された自身の所有物に気づかないわけがない。
知っていたはずだ、アガトがいることを――他の召喚物との逢瀬を見られる可能性があることさえも想定できる。
アガトが唯一と偽っていたくせに、その偽りが露呈する場面を回避しないこの矛盾。
「――、いや」
前提を間違えるな。
どうしてシキミは、アガトを“唯一にした”。
それではまるで――
「“特別扱い”」
アガトを唯一にしたいという彼女の本心が見えてしまった。
それに気づいたと、同時、ノエマの足元が崩れる。


