(四)
有能同士を交配させたところで、必ずしもサラブレッドは産まれない。
時折いるのだ、汚点が。
容姿(姿形)こそは一族らしい特徴を兼ね備えていようとも、肉体的に劣悪たる弱者。力が物を言うこの界隈で、汚点を産んだとなれば一族の恥でしかない。
72柱、第七大罪。
その両者に名を置くアスモデウスの血を引きながらも、そこいらの劣等とさほど代わり映えしない奴が、いつの時代にもいた。
アガトは、恥であった。
忌むべき、罵るべき汚点であり。
「なんだ。まだ生きていたのか、貴様」
自害ものの奴がこうして、自身の前に現れたことに、ノエマは失笑したものだ。
「消えろ、汚点。私は疲れているんだ」


