(三)
「おかえりん」
待ってましたと陽気なオドエーヌに、アガトは目配せもしなかった。
視線はずっと下。
憔悴仕切った身は、心から摩耗しているようだった。
「おやおやん。修羅場ん?」
「……」
「ふられたんなら、飲みましょうよん」
「……、還せ」
「いっそさー、ここでワタクシと契約しちゃって、『シキミ』をぎゃふんと言わせて見るのも、面白いと思うよん」
「還せ。息苦しくて……堪らないんだ」
その様子に同情するかのような目を向けたオドエーヌが、諸手を挙げた。
「いいよん、いいよん。あい分かったん。ワタクシも鬼じゃありませんからねん。還しましょうん。シーユー、バイバーイ」


