――そうなんだ、“きっと”。
「っ……」
馬鹿な考えを吐き捨てる。
死に物狂い相応しい身で、ようやっとたどり着いた屋敷は見慣れた建物。
彼女との憩いの場。
辺りは木々が生い茂り、昼でも薄暗さが残る気味悪い場所でも、中の住人が日溜まりみたいな人物だから、アガトはこの屋敷が大好きだった。
建物に入るときは、玄関から。
前にめんどくさがって、二階にある彼女の自室の窓から入れば、マナー違反と怒られたこともあったのだから、アガトは今とて――そうしようと思ったのに。
「カーテン……」
使われていない空き部屋はともかく、シキミの自室にはカーテンが。
中の様子を隠すそれだが。こんな真っ昼間に閉めてあるのが不自然だった。


