自分なしでも生きられる彼女。見えない空白の時間。そこを埋めようと、“あることないこと話す”オドエーヌなのに。
「第七……」
悪魔の純血種。
アスモデウスもまたその一員であり、そうして、自分は――
「っ、馬鹿なことを!」
“その他大勢の一部”であるだなんて、思いたくなかった。
「俺はシキミを……!」
そうして、シキミは俺を。
愛している、愛されていた。今までの時間が嘘だなんて思いたくない。
「ならん、自分で確かめたらどうん?」
椅子に座り直したオドエーヌは、窓の先を指さした。
「翼あるあなたならん、遠くない距離に『シキミ』がいる屋敷があると思うよん。覗いてみたらん?」
――『シキミ』の日常というものを。


