悪魔は人に依存する



「まあん、信じたくないの分かるけどん。逆に聞くけどさん、あなたはシキミの全部を知ってるのん?」


「知ってるも何も、俺は――」


「あなたがこっちにいない時、彼女が何をしているかもん?」


「……」


二の句が繋げなかったのは、何故だったか。


想像はできる。
自分がいない間、シキミは薬を作ったり売ったり、時には己の技量を上げるため、魔導書を穴が空くほど読み続けたり。


自分が知らない空白部分。でも、『彼女のことだ。きっとそんなことをしている』と今まで疑わなかったのに。


「悪魔呼べる召喚師がさあん。自分の下僕を一体だけにするって、おかしくないん?」


シキミにそれほどの能力があるとは思っていないが、彼女はそれに見合う努力をしてきたことをアガトは知っている。