肉の山に気圧されたインプがアガトの背に隠れてみるものの、匂いからして食い物がいると分かったのだろう。
デウムスの鼻が伸びる。もともと巨体であり、腕代わりの物が伸びれば天にも届く。
「ぎゃーっ」
「うるさい」
騒ぐインプを鷲掴み、退くアガト。きちんと距離は取ったつもりでも、鼻がまとう気流を浴びて、バランスを崩す。
傾く体を何とか整えようにも、鼻は追ってくる。のっそりとした動きだろうが、アリとゾウほどの体格差で遅いなどと言えない。
こちらの百歩があちらにとっての一歩分。一動作で視界全てを蹂躙するさまは、ある種の天災だ。
事実、鼻が落ちた先、地面は凹み、木々はなぎ倒され、嵐後のような惨状になっている。


