(四)
善は急げと言えども、何かしらの策があるわけではなかった。
「タイマンっすよ、タイマン!拳で腹殴りゃあ、吐き出しますって!」
その策をこの低俗に相談したのが間違いだったと、アガトはため息をついた。
「殴るって、あの脂肪をか」
「あ、そーっすよね。あそこまでデカくぶよぶよじゃあ、殴っても急所(臓器)に届くわきゃあないっすもんねっ。トランポリン殴ったら、反動は自身に回ってくるわけでぇ、っと、なら細切れに一票!」
「山を分割か」
そちらこそ骨が折れそうだと、空中で制止をして、アガトは辺りを見回す。
世界は広い。
しかしながら、あの巨体が隠れる場所などないだろう。
四方八方飛び回るだけの体力さえあれば、難なく見つけられた。
遠方でも分かる肌色の塊。目を細めなければならない点であろうとも、目的地が視界に入るならば、急いで後を追う必要もない。
「召喚師を殺せるほどの実力で、最近、人間界に行ったとなれば、やはりあいつだよな」


