拳を握ってみせた彼女だが、確かに拳大のルビーとなれば、価値あるものであろう。
「そういう宝石って、色々と用途があるんですよねぇ。単なる装飾品はもとより、魔器具の材料や、宝石に目がない召喚物を誘い出す触媒にしたりと、かなり幅広く使えます」
「それを盗まれるだなんて、とんだ間抜けだな」
「ですねー。寝てたら、いつの間にか。とかなんとか。それでも盗まれたから取り返せで、その人なりに犯人をつきとめ、いざ奪還と意気込むあたりで、後の祭りでした」
聞いた話を語るにしても、それだけでシキミが脱力したようだった。
「今朝、その犯人がいる街に赴いたそうですが、事故召喚でもあったんでしょうね。街が一つ、地図から消えました」


