「んー、そう言われましても、ね……」
無欲なシキミを知らぬアガトではなかった。
どうせこんなことを聞いても、彼女は決まって『アガトがいるだけでいい』と答えるのだから、実のところ、アガトはそれが聞きたかったのかもしれない。
「あ、そういえば」
と、思い出したかのような彼女のセリフは期待していたものとは違うが、待ち望んでいた“お願いごと”だった。
「私の知り合いが、この前、ルビーを盗まれたらしいんですよ」
「ルビー……?」
赤い宝石であることはアガトとて知っているものの、まさかお願いごとが物探しになるのかと懸念してしまった。
「ただのルビーじゃありませんよ。拳大の大きなルビーなんですから、希少価値大です」


