「『少なくとも』どころか、大きすぎる幸せがあるよ」
「変な言葉」
アガトの舌で熱くなる指を今度こそ引っ込め、シキミは絆創膏を貼り付けた。
「幸せだとさ、その幸せをくれたシキミにお返ししたいと思うんだよね」
「してくれているじゃないですか。あなたの世界から持ってきてくれる植物は、いい研究材料ですから。薬として売れば、私の生活も安泰なのです」
「植物じゃなくて、もっと欲しいものはない?」
「召喚物としての下僕根性が働いているんなら、やめてくださいよ」
「違う違う。さっきも言った通りに、俺はシキミにお返しがしたいだけ。やっぱり、好きな人が喜ぶのは嬉しいから」
だからこそ、シキミが欲しいと言った植物をカゴいっぱいにして持ってきたこともあったんだ。


