「俺にアレを喰えと……」
ぎとぎと油の塊を、と焼いてもまずいのは明白で、アガトはしかめっ面をしてみせたが、インプの笑みは消えない。
「いやっすねー。ダンナってほら、あれっしょ?アスモデウスの眷属(けんぞく)。72柱の奴らはみーんな総じて、強くなるために何かを殺すんっすから。殺してばんばん強くなる、だなんて、RPG王道のラッキーなレベルアップ方法じゃないっすか!」
「……、俺は違うよ」
匂いか、はたまた食べた羽でアガトはそうだとこのインプは言うが、否定しておく。
「違うんだ」
繰り返された言葉の意味は、“そうでなきゃいけない”と念を押すような言い方だった。


