「なんだその言葉は……」
「気ぃ変わんないでくださいよー」
「救いようがない馬鹿に戻りたくなどない。そもそも、俺が悪魔だろうと彼女は特に気になどしていないしな」
「強い男だからオールオケーっすかぁ」
「だから、俺は強くなど……」
ないと言うところで、空から脂肪が降ってきた。
「は?」
見た光景を直訳したものだから、『脂肪が降ってきた』の意味に自身が訝る。
肌色の巨漢、どころか肉の山だ。大地を凹ませて、大木全てをへし折る体重による地響きは、距離が離れたこちらでも感じ取れる。
「なんだ、あれは」
化け物など見慣れたからこそ驚きはしないが、初めて見る物にはハテナを浮かべる。


