「お、ダンナ。その羽捨てんなら、手前が貰ってもいいっすか?」
聞くわりにはもらう気満々らしく、鳥は枝から降りる。
鳥と言っても嘴はなく、口元は鮫歯が剥き出しで並び、カギ爪は人の指三本。唯一鳥めいたところは漆黒の羽あたりだった。
こちらではインプと呼ばれる種族。群れで行動するのが主であって、こうして“はぐれ”と出会ったものだから、つい珍しくアガトは話し込んでいた。
「貰って何をする?」
「いやっすねぇ、んなエロいことに使いませんって!いちおー、手前もオスっすから、メスじゃなきゃビンビンしません」
「誰もそんなこと言っていない……」
「さーせん――って、これは略語なんっすけど、まあ、ともかく、この羽、食わしていただいていいですか」
「別に食ってもいいが、羽一枚で腹は膨れるのか?」


