「口の減らない……」 壁にぶつかり、割れた陶器。中身の紅茶が床を汚していた。 拭くべきなのだろうが、別にやるべきことがある。 「アガト」 切望する人の名を呼ぶ。 「私のアガト」 私だけの―― 「愛させてください、アガト」 愛していますから。 「死んでも、離しませんよ」 だから、彼の名を呼ぼう。 ずっと愛し合っていられるように――