かつんとタイルに落ちたシャワーノズルが二人の足元を濡らす。
「俺は、シキミの“なに”?」
その答えを聞いてなかったと、彼女と距離を詰めた。
シキミが壁に背をつけたところで、両手をその脇に添えて、逃げ場をなくす。
「俺は、シキミの恋人でありたい」
愛しているし、君が俺を愛してくれるならば。
「ねえ、シキミ。君はどうしたい?」
言うこと、何でも聞くよ。と遊びない真面目な顔に、シキミは唇をつけた。
「愛させてください、アガト」
愛してますから――
満足いく答えに、男は返す。
「最初から、そう甘えてくれればいいのに」
「そんなことを言うあなたがいるから、嫌なんですよー」
はいはいと、宥めるようにアガトは口づけを返してみせた。


