大好きな人を貶す奴ら。彼の口から聞いたその過去に、シキミは我がことながらに憤慨した。
「彼を傷つけた奴らは、みんな死ねばいい。何よりもそれは、彼自身の手で絶たなければ、一生引きずったままだ。可哀想に、アガト。
汚点だなんて罵倒されて、虐げられていただなんて……。憎んでいいのに、憎めばみんな殺せるように“してあげたのに”、アガトは……」
人を殺したことがなかった。
自分自身が汚点であると認めてしまっているから。
「だから、間男として憎ませるってん……。もっと他に、やり方はないのん？下手したら、憎まれていたのはあなたになるよん」
「あり得ませんよ。例え、憎んだとしても、アガトは私を愛していますから」
