悪魔は人に依存する



それに荷担してしまった身としては、罪悪感も湧いてくる。


シキミには内緒だが、あの時のアガトに言った言葉は本気でもあったのだ。


「男を弄んで、何が楽しいのん?」


残酷なことをするこの女の意図が、理解出来なかった。


それにシキミは、心外だと顔をしかめた。


「弄ぶ?まさか、私はアガトに対して、いつも本気ですよ。毎日毎日、彼ばかりを思い、何が彼のためになるかと考え、そんなことしかしていない」


弄ぶという言葉が思いの外、苛立つのか。息巻くようにして、シキミは言った。


「私はアガトを愛しているんですよ。他の誰でもない彼を、彼のためだけに生きている……!

無駄な悪魔と契約してきたのだって――“アガトを侮辱するあいつら”を、私の手で殺さなかったのだって、彼が第一に報われるように考えたことなのだからっ」