「不愉快な二つ名で呼ばないでくださいねー」


飲むが、浴びて飲む状態になった男に言いながら、シキミも自分のカップを口に運んだ。


「事実なのにん……」


「煮えたぎった油を浴びるように飲みますか?」


「相変わらず、おっかない女だねん。どうして悪魔は、あなたに惚れるんだろん?」


「さあ。惚れてほしくなんかありませんよ。所詮、アガト以外の悪魔なんて――」


「“餌”、だよねん」


「殺されるだけの存在ですよ」


アガトに、とシキミの口端が上がる。


その様子に、ますますおっかないと思う男は、今回の件を思い返した。


「こうさ、ルビーを取り返してもらったのはワタクシとしても万々歳だけどん。酷くはないかいん?好きな女が、別の男と寝る場面って、ちょーショッキングなんよん。実際、アガトくん、今にも死にそうな感じだったしん」