「君を信じている、分かっている。愛しているのは変わらない、君が俺を愛し続けているのだって、言われずとも感じている。
けど……、だけどっ」
懇願するかのように、アガトは奥歯を噛みしめた。
「っ、おかしいんだよ、何かが……!おれ、壊れたのかもしれないっ。シキミを愛している、愛しているのに、辛くて……っ。
君を憎いだなんて思ってない、のに……」
シキミの指先から血が滲んだ。
「死にたくなるほど、憎くなる……!憎みたくないっ、憎みたくないから、もう息をするのが、辛い、んだ……」
アガトの頬に伝う彼女の血に混じる、無色の液体。
己を壊れたと、愛しているのに憎い気持ちが芽生えた自身を殺したいと、アガトは涙を流した。


