悪魔は人に依存する



「こいつ、シキミの何?」


これを聞くため。


掲げた生首が、シキミの目の前に。絶命した後でも、まだ何か言いたそうな顔をしていた。


「シキミが愛しているのは自分だって、言っていた」


生首(ノエマ)の頬に、裂傷が走る。


「シキミと自分は愛し合っている、とも言っていた」


ノエマの眼球が割れた。


「シキミの恋人は自分だ、って言っていた」


鼻先を中心に、蜘蛛の巣のような亀裂が入る。


「シキミは自分しか愛していない、って――言っていた」


瞬間、生首が破裂した。


水風船が割れるように、中身をぶちまけ、原型をなくす。


ぼたぼたと落ちる肉片。不快な音に相応しい、触れたくもない見目に破顔することもなく。