「シキミは、俺しか見(あいし)ていないのだから」 彼女の視界(世界)にいるのは、ただ一人のみであり、自身もまた彼女しか愛していない。 「ああ、早く。君に、誉められたいよ」 高揚する心は、シキミに誉められる自身を思い描いて。 でも、ただ、そう―― 「シキミ、どうしてこんな奴と一緒にいたんだろう……?」 汚いのに、とあどけない問いをかけた時――足元から捲れ上がる感覚を、アガトは覚えた。