悪魔は人に依存する



「誰よりも、君を愛していたのにっ。愛し合っていただろうに!」


そう、自負していたからこそ。特別たる存在の“絶対”になれたからこそ、ノエマは己(矜持)を保っていられたのだ。


「何で、こんな汚点をっ」


汚点に負けるはずなどなかった。汚点のままであれば。


再生能力はデウムスを殺した折りに得た能力にせよ、アガトにはそのデウムスを殺せる力はないはずだ。


「どうして、私ではないん、だ……っ」


アガトを“こうした”のは誰だ、などと問うまでもない。


特別扱い――
その結果が、“これ”であり。


「シキミが愛したのは、俺だ」


彼女にとっての“唯一”が、絶対を覆す。


「勘違いも甚だしい。自惚れるなよ。――クッ、そっくりそのまま返そう。お前こそが、“その他大勢”だ」


ジャンルが違う。
その他大勢の中での一番では、唯一無二には及ばない。