また、頭が痛くなってきた……。

指先でこめかみをほぐしてみるがあまり効果はない。

早退しようか、でも大量の仕事がデスクに積み上げられている。

しかも帰って一人になれば、嫌でも田村のことを考えてしまいそう。

どうしようかと迷っていると、背後から人影が近付いてきた。


「独り身の高畑は、結婚が決まった田村に嫉妬してんだよ」

「し、主任!」


のらりとした風貌でやってくるのは営業課の主任。

いつもやる気なさそうに見え、面倒なことは部下に頼む人。

しかし部下からの信頼は厚く、営業成績もいいので、やるときはやるのかもしれない。