私と彼が嘘をつく理由


電車を何度か乗り換え
キャリーケースをコロコロしながら
お父さんに渡された地図に沿って
歩いていく。

そして見えたオシャレなアパート。


ここの305号室。

ドキドキしながら
エレベーターに乗り込む。

チンッという音が
やたらと大きく聞こえ
緊張で手汗がハンパない。


やっとこついた305号室の前で
深呼吸を一回して
チャイムを鳴らした。