「ほんまやで。この阿呆が…何でも一人で決めてからに。」

「ほんまや。」

口々に文句を並べながら二人はサルスの許に近付いて彼の身体に触れた。

次々と重なる手が温かい、仲間のぬくもりに触れたサルスはゆっくり頭を起こし顔を上げる。

もっと怒鳴られると思っていた。

叫びながら説明しろと食いかかってくると思っていた。

しかし部屋に入ったサルスが見たのは、どうしたんだと。心配そうな三人の表情だった。

まず自分の心配をしてくれた仲間の心にサルスは今まで奮い立たせてきた気持ちがゆるんで弱音を吐いてしまいそうになる。

信頼できる、サルスは嬉しさと安心から自然と笑みがこぼれた。

「なんですぐに気付くかな。騙し通せる自信はあったのに。」

「阿呆。分かるわ、どっからどない見てもサルスやないの。」

素早い紅のツッコミに貴未と聖は吹き出してしまった。

あの時現場にいた紅、そう思うとサルスは何故だか緊張してしまう。

「サルス。それがサルスの本当の姿なのか？」

貴未の質問に笑みはなくなり真顔になってしまった。