しかしジンロは淡々と話すカルサの疑問にすぐ答えられなかった。

「そうだな。さっきみたいな癖が残ってると特にそう感じる。」

その言葉に閉じていたカルサの口が少し開いた。

僅かな反応でも得られたことに気を良くしたジンロは剣先で下から振り上げるような素振りをする。

カルサは剣を鞘に収めると放り出したままの上着を拾って立ち去ろうとした。

「カルサ、あまり過去に捕らわれ過ぎるな。」

足を止めてカルサはジンロを振り返った。

「息が出来なくなるぞ。」

心配と忠告、その間のようなジンロの言葉にカルサは微笑んだ。

「俺から過去を取ったら何が残る?」

「今と未来があるだろう?」

「未来なんてものはない。」

間を空けてはいけないとすぐに言葉を放つが、カルサの否定も早かった。

それにはジンロも言葉を選んでしまう。

「お前のあの国は…あの国には未来があるじゃないか。」