見事、そう言いたくなるような景色だがあまり喜べるような場所ではないらしい。

この場所が一体何か、一目で分かった。

「墓地…慰霊碑ですか？」

千羅の問いかけにジンロは頷いた。

カルサは止めていた足を進め、石板の文字を確認しながら歩いていく。

何かを探していることは明白だった。

二人はその場から動かず、黙々と歩くカルサの行く末を見守る。

「探しているものに心当たりは？」

視線をカルサから離さずに、少し身体をジンロの方に傾けて尋ねた。

「ここは太古の神官たちの墓場なんだ…心当たりはありすぎる。」

ジンロも同じ様にカルサを見つめたまま答える。

この墓場の意味を知り、千羅は驚いてジンロ見た。

太古の神官たちの墓場、それはカルサはもちろん千羅にも大きな意味をなすものだ。

穏やかで美しいこの場所には耐え難い歴史の名残がある。

やがてカルサの足は止まり、二人は彼の動きに注目した。