私は好きなの！⇔オレを見ろ！

「いてえな、足どけろよ」


　謝りもしない雪奈はダメ押しとばかりに再度足を踏みつけると、裕也はしゃがんで踏まれた足に異常がないか触って調べた。


「本当、暴力的な女」
「ああ？」
「いやあの、別に。それより理事長の別荘、雪奈と瞳ちゃんは行くの？」
「もちろん私は行くけど…」
「瞳ちゃん、何かあった？」
「何か乗り気じゃないと言うか…、様子が変なの」
「変？」


　賢一の隣にいる瞳の様子を見ると、瞳はいつもと変わらず紗耶と話している。


「変わったとこは見受けられないけど」
「今はそうなんだけど、四人で部室に出た後、瞳、何て言えばいいのかな？そう、暗い顔してた」
「暗い顔？どれどれ」


　もう一度瞳の方を見る裕也だったが、瞳はそのような様子はなく、それどころかいつもより明るく振る舞っているようにさえ見えた。