私は好きなの！⇔オレを見ろ！

「あの…、紗耶ちゃんは知っているかわからないけど、紗耶ちゃんと理事長って何か深い仲なの？」


　オブラートに包むような配慮のない質問に、紗耶は軽くひいてしまった。


「あ、ごめん。この室内を使えることいい、紗耶ちゃんと理事長って仲いいじゃん。もしかして親戚？」
「いいえ…、違う…けど」
「じゃあ、例えば例えば何だけど、何か人に言えない秘密を握っているとか？」
「あの…、やめてもらえます？」


　紗耶はわずかばかり怒った声を出し、裕也はコレ以上はと思い止まる。


「いやゴメン、別に深い意味はないんだけど…、忘れて」
「・・・・・」


　紗耶は表情こそは表には出さなかったのだが、鈍感な裕也でも機嫌が良くないのがわかり、コレ以上会話する事が出来ない。


　何も会話が出来ないまま10分が経過、賢一は雪奈と瞳を連れて戻って来た。