私は好きなの!⇔オレを見ろ!

「賢一助けてくれ、頼む一生のお願い」


 腰を抜かしたまま、裕也は賢一のデニムをしっかりと掴みしがみついてに懇願し、賢一はいきなりこんな事をされ困惑。


「ま、まあオレが言ったと言えば…」
「頼むよ。こんな時頼れるのはお前だけだからさ」


 しがみついた裕也の様子は<藁(わら)にもすがる思い>という言葉が似合うほどであった。


「と、とにかく一度部室に戻って聞いてみない事には…」
「じゃあ聞いてきてもらえる?」
「一人でかよ、一緒にこいよ」
「オレが一緒に行くと雪奈のやつ気付くからな。アイツ、昔から勘が良くって嘘を何回も見破られているからな」
「わかったわかった、じゃあ三人で続きでもしておいて」
「悪いな、今度お礼するからさ」


 賢一はやれやれと頭をかきながら部室に戻り、室内にはいつのまにか三人以外誰もいない。