私は好きなの！⇔オレを見ろ！

　賢一が部屋に出て5分が経過、裕也と海斗は息を止めているかのようにピクリとも動こうとせず、反対に雪奈は細かい動きをしていた。


「どうにかならないかな…」


　裕也は雪奈に聞こえないような小さい声でいったのだが、雪奈に睨まれていると感じたのか身体がビクっと反応してしまう。


「お疲れ…様です」


　この地獄のような空間に天使のような声が聞こえた。声の正体は紗耶で紗耶を見た途端、裕也は思わず顔が緩む。


「今日…コレだけ…？」
「賢一は瞳ちゃん探してるから」
「そう…ですか」
「それで今日どうしようか？」
「…あの…ね、理事長とさっき会って室内…使っていいって」
「…理事長」


　裕也は紗耶から＜理事長＞という単語を聞いて、前から紗耶と理事長間に変な噂があった事を思い出したのだが、気付かないフリをしていた。