私は好きなの!⇔オレを見ろ!

「紗耶ごめんね、…紗耶?」


 雪奈は紗耶がボーとしており、目線の先には何とか落ち着かせようとする賢一とパニックになっている裕也が写っていた。


「さ、紗耶」
「あ…、ごめんなさい…」
「ボーっとしてなかった?」
「大丈夫よ」


 そのような会話をしているうちに賢一は裕也のアイスを口から離し、ぜいぜいと少しでも酸素を吸おうと呼吸を繰り返す。


「‥雪…奈、お前、本当に大概…に…」
「裕也落ち着いて、雪奈さんは紗耶さんのために」


 賢一は裕也が雪奈に飛び掛かかる前に力で抑える事に成功し、力で負ける裕也はジタバタする他、どうする事も出来ない。


「アンタが悪いんでしょう。それより裕也、今日バイトの日だよね?時間とか大丈夫なわけ?」


 その一言に裕也は壁にかかっている時計を確認すると、再び慌て出す。