私は好きなの！⇔オレを見ろ！

「大丈夫笹木君」


　瞳は慌てて海斗に近寄り、頭を打ったのか軽く脳震盪（のうしんとう）を起こしていた。


「あ…」
「雪ちゃんひど、笹木君保健室に行こう」
「ごめん…」


　海斗は瞳の肩を借りて部室から出ていき、それと入れ代わるように賢一と紗耶が部室に入ってくる。


「海斗に何かあった？」
「山元君！大丈夫…だよ」
「そう？何か頭押さえていたし、肩借りていたようだし」
「ああ、今度二人三脚がどうちゃらこうちゃら」


　雪奈の苦しい言い訳に賢一と紗耶は呆れてしまったが、それ以上深く聞こうとはしなかった。


「川口…さん、宮本君家わかる…？」
「裕也家？大体はわかるけど…何で？」
「二人で話をしてて…朝から見ないから…、様子…見に行こうと」


　賢一そうだと言わんばかりに二度三度頷き、行く気満々。