私は好きなの！⇔オレを見ろ！

　紗耶の目的はお手洗いに行く事ではなく、相手の顔や行動、そのほか持ち物喋り方やクセなど必要な情報を集めた。


「…あの人たち」


　紗耶はわずかな数秒見ただけであったがある事に気づいた。


「紗耶遅いなー、何してんのよもうー」


　紗耶がお手洗いに入って15分、紗耶が出てくる様子はなく、一人では正直不安であちこち頭が動く始める。


「…ごめんなさい」


　ようやく戻ってきたはどこかすっきりした顔で、何となく顔がつやつやしていたようである。


「遅いよ、何してたの？」
「…ちょっと…ね」
「ちょっと？」
「…それより、聞いて…もらえる？合コンの相手なんだけど…」
「え、もしかして知り合い？」
「ううん…、知らない」
「じゃあ何？早く喋って」


　雪奈は紗耶の話を早く終わらせて、裕也の事に専念したかった。