私は好きなの！⇔オレを見ろ！

　賢一がいるところは紗耶と雪奈のいる席から少し離れており、店も結構にぎわっていたため何を話しているかわからない。


　しかし、どうやら話は盛り上がっているみたいで、遠くからみても楽しそうに話しているのがわかった。


「あの…、あそこに山元君が…」


　紗耶の問いかけに一切答えようとせず、いつの間にかあったアイスティーやミルフィーユーに口すらつけてない。


　紗耶はため息を吐き、賢一の様子を観察する事にした。賢一が相変わらず何を喋っているかわからない。


　だが、女性たちに向かって何度も何度も頭を下げて何かをお願いし、更賢一は何かを取り出して女性たちにそのまま渡している。


「ほら、来たよ紗耶」


　不意に身体を揺すられた紗耶はびっくりして正面を向き、雪奈を指さすほうを見ると裕也と海斗が店の中に入っているのが目に入った。