私は好きなの!⇔オレを見ろ!

「ほら次の人行って。後がつかえるから」
「あの…私はギブア…」
「ほら、オバサンはせっかちなんだから」


 まさか自分が原因で肝試しをさせられているとは知る由もない雪奈は、石崎に無理矢理背中を押されて肝試しに強制スタートをさせられた。


 雪奈は裕也たちが見えなくなるところまで歩くと、後ろを何度も振り返る。


「もう無理もう無理」


 走りたくっても走れない、また今どこに自分がいるかさえもわからないところまで歩く。


「お願い…誰か助けて」


 暗闇に吸い込まれそうな声を出したが、当然返事などどこからも返ってはこなかった。


 雪奈は近くにある墓石の近くで腰を下ろし、誰かが来るのをじっと待った。しかし、道から大きく離れたため10分経っても20分経っても誰も現れない。